ポークスペアリブ(再)


こんなスペアリブがグラム100円で売っていました。買わないという選択肢はありません。560gくらいあります。うんー、どんなカレーにしようかなー(^Q^)
これを、まず、少量のターメリックとレモンジュースとヨーグルトとでマリネしました。


肉を眺めていると、濃厚系のいわゆるコールマーというカレーが食べたくなったので、まず、タマネギをよく炒めました。タマネギの水分を油に置換するイメージで炒めます。油が多い?ですか?でもこれでも、最低限量なんです。これ系のカレーは、タマネギがたっぷりとオイルを吸うことがポイントになるので致し方ないです。毎日食べるわけではないということで、ダイエット的な部分には目をつぶります。
このあと、ニンニクとショウガをすりおろしたのとアーモンドプードルとを牛乳でときあわせて、入れます。そして、唐辛子、スパイスミックス、ガラムマサーラーを炒めて、マリネしておいたお肉を入れます。あまり炒めずに、ヨーグルトとお湯を投入。煮込みにはいります。
前回は、お肉が十分柔らかくなっていなかったので、今回は圧力鍋にかけます。


そして、フタを開けてみると…、おおおぅ!これはいい感じ。赤い油の下に、白いグレービーが見えて、ぷくぷく沸騰しています。これこれ!これです。


下町の食堂風に小プレートにとって、いただきます。
浮いた油といい、アーモンドその他がザラッとするグレービー部分といい、これはまさにコールマーそのもの。ただ、豚肉で作ったのに、ムスリム系の言葉とおぼしきコールマーと呼ぶのは、ちょっと気が引けます…。でも、見た目も味もまさにコールマーです。
気になったので、コールマー(क़ोरमा)という単語を辞書で引いたら、トルコ語由来の言葉とされていました。めずらしい、だいたいこういうのは、アラビア語かペルシア語由来のことが多いのに。
興味が出てきたので、『インドカレー伝』という本のコールマーの章をみてみました。

『インドカレー伝』リジー・コリンガム著、東郷えりか訳(河出書房新社)、p127

ムガル料理は、アウドの豊かな農業地帯からの産物を組み入れることによって、ラクナウで変貌をとげた。ラクナウの人びとはクリームを好み、十八世紀にそれを使ってムガル料理のコーラマ、もしくは今日コルマと呼ばれるものを完成させた。コーラマは最も柔らかい仔羊か鶏の肉だけを使って作られる。この名前は、肉を油で炒めてから少量の汁でゆっくりと蒸し煮にする料理方法に由来するものだ。ムガル時代には、ペルシアの料理方法が応用された。まずヨーグルトに生姜、ニンニク、玉ねぎ、香辛料を混ぜたもののなかに肉を漬け、それからヨーグルトソースの中でゆっくりと煮る。このソースに、アーモンドの粉を入れてとろみをつける。これもまたペルシア伝来の技だ。ラクナウでは、このソースにクリームをたっぷりいれ、すばらしく濃厚な味の料理をつくりだした。

また、『インドの食文化8 インド』のパンジャーブ料理の項に以下の記述がありました。

『インドの食文化8 インド』小磯千尋・小磯学(農文協)、p56

野菜や肉の名前に「コールマー」とついた料理名も多い。「コールマー」とは野菜や肉を油やギーで炒めて、クリームやヨーグルトを使って作るこくのある料理の総称である。

なるほど、クリームか。次は入れよう。「濃厚」と「こく」というのがやはりポイントのようですね。あと、ペルシア伝来の技でラクナウーで完成とあります。パンジャーブにも所縁がある。でも、トルコ語由来の部分は、まだ謎のまま。
『家庭で作る本格インド料理』香取薫(マーブルトロン)をみると、カシューナッツ、ピーナッツバター、コーヤーといったキーワードが気になります。カシューナッツ風味は、たしかにデリーで食べたものでも感じました。


最後に、デリーで食べたコールマーから、アル・カウサルのマトンコールマーを紹介します。このアル・カウサルは、カーコーリー・カバブが店の看板メニューで、また、ビリヤーニーもラクナウー風とメニューにあることから、ラクナウースタイルのムガライレストランと思っています。

これはカルダモンを中心としたスパイスがもう強烈です。どうしたらこんなにスパイシー(辛いのではない)にできるのか。あと、ナッツの風味が濃厚。写真で伝わるか分かりませんが、それはもう凄みのあるマトンコールマーでした。